3条刈は「収穫日量の不足」から選ぶ
3条刈コンバインの比較で最初に決めるのはメーカーではなく、一日に処理しなければならない面積である。品種別の刈取適期、雨天を除いた作業可能日、オペレーターの拘束時間をほ場ごとに並べ、最も集中する期間の必要日量を出す。小区画や分散ほ場では、刈取速度を上げても、旋回、あぜ越え、ほ場間移動、籾排出に時間を取られる。前年の作業日報があれば、エンジン始動から終了までの時間ではなく、刈取、排出、移動、待機、清掃に分けて再集計する。
3条刈が有力なのは、2条刈では適期内の終了が難しい一方、4条刈では進入路、旋回場所、格納庫、運搬車への積載に余裕がない経営である。ただし、条数を増やすだけでは日量は決まらない。籾運搬車が戻るまでコンバインが停止する、乾燥機の張込み終了まで次の籾を受けられない、品種切替の清掃に時間がかかる、といった工程が詰まれば、機体の作業速度を生かせないからだ。
候補選定では「必要日量を満たす最小構成」を基準にする。余裕は故障、倒伏、湿った稲、作業可能時間の短縮に備えるため必要だが、使わない馬力や装備も保有費と整備対象になる。販売店には作付面積だけを伝えるのではなく、最小区画、最多の一日刈取量、最長のほ場間距離、乾燥機の一回張込量、運搬人数を示す。この情報があれば、カタログの速い機種を並べるだけでなく、経営全体の処理能力に合う提案を受けやすい。
公式仕様で3条 コンバイン 比較
2026年7月30日に確認できたメーカー公式資料では、ヤンマーYH325R・YH333RとクボタKR334・KR338はいずれも3条刈だが、出力、タンク容量、計算上の作業能率に差がある。比較表の数値は型式の位置づけを把握するためのもので、実作業時間を保証する値ではない。仕様区分やオプションによって重量、自動刈高さ、車体水平制御などの装備が変わるため、販売型式名と区分まで見積書に記載してもらう。
ヤンマーの公式諸元では、YH325RとYH333Rの機体寸法は全長3,870mm、全幅1,810mm、全高2,050mmで、タンク容量はともに800Lである。出力と計算上の作業能率が異なるため、ほ場条件が重い場合や必要日量が大きい場合は、上位出力の効果を実演で確かめる。一方、クボタの公式資料ではKR334・KR338の3条刈は全長3,890mm、全幅1,870mm、全高2,090mm、タンク容量850L。寸法差が小さく見えても、格納庫入口、農道の路肩、橋、積載車のあおりとの間には安全な余裕が必要であり、カタログ寸法と入口幅が同じなら入れるとは判断しない。
馬力の大小は、速度だけでなく、稈量が多いときや湿材を処理するときの負荷余裕を検討する材料になる。ただし、高出力機が自家ほ場で必ず速いとは限らない。倒伏方向、田面の凹凸、旋回回数、籾排出位置により、オペレーターが速度を落とす場面が変わる。候補機の実演では、整った直線部分だけでなく、入口、四隅、あぜ際、普段ぬかるみやすい場所を含む区画で、刈取時間と非刈取時間を別々に測る。
カタログ能率を自家の日量へ換算する
試算は、まず「対象面積(10a単位)×公式の作業能率(分/10a)」で基準時間を置き、そこへ籾排出、運搬待ち、ほ場間移動、始業点検、品種切替、終業清掃の実測時間を加える。公式値が幅で示される場合は、都合のよい最小値だけで計画せず、前年の稲姿やほ場条件に近い側を使う。作業能率の算出条件はメーカー資料で確認し、含まれていない工程を二重計上しないよう整理する。
籾排出回数は、800Lと850Lという容量だけから決めない。過去の乾燥機張込記録から、ほ場別の生籾量を面積で割り、自家の実績を使って候補機一杯当たりの刈取面積を見積もる。収量や籾の状態で充填量は変わるため、カタログの袋換算を年間計画へそのまま当てはめない。排出場所までの移動、運搬車の入替え、オーガの展開と収納を含めて一回当たりの所要時間を測れば、タンク容量差が一日の停止時間にどの程度影響するか判断できる。
最後に、コンバイン、運搬、乾燥調製の三工程を一時間ごとの表にする。コンバインが先行して運搬車を待つなら、運搬容器、車両台数、排出場所の変更を先に検討する。乾燥機が限界なら、品種別の刈取開始時刻や張込み順を調整し、機体の高速化だけで解決しようとしない。反対に、運搬と乾燥に余裕があり、刈取工程だけが適期内終了を妨げていると確認できた場合は、上位出力や高速側の候補を選ぶ根拠になる。
見積書と実機確認を同じ条件にそろえる
見積もりは、本機価格だけでなく、車体水平制御、自動刈高さ、排わら処理装置、防塵装備、オーガ関連装備、収量センサー、納車費、初期設定、操作指導、保証、定期点検を分けて記載してもらう。現在の機械から流用できる運搬容器や周辺機器も型式を伝え、接続や寸法の適合を販売店に確認する。異なる装備区分の総額だけを比べると、安く見える見積もりに必要装備が含まれていない場合がある。
実機では、運転席からのデバイダ先端と右後方の見え方、乗降、主変速、刈取部昇降、籾排出操作、日常清掃部の開閉を、実際のオペレーター全員が確認する。格納庫と運搬については入口の有効幅・高さ、床の段差、積載車の荷台寸法と最大積載量を実測する。機体重量は仕様区分で変わるため、シリーズの代表値ではなく、購入する型式の諸元表を使う。積み降ろしのあゆみ板、勾配、固定方法は必ず機体と運搬車の取扱説明書および販売店の指示に従う。
安全装備も型式単位で比較する。農研機構の安全性検査は実機を用いる任意検査で、合格型式には適合基準を示す証票が貼付される。補助事業や認定計画で導入する場合は対象条件があるため、見積型式の合格状況を農研機構の一覧と事業要領で確認する。農林水産省の安全研修資料が示すとおり、詰まりの点検・清掃はエンジンを停止してから行う。収穫期の修理受付時間、出張拠点、主要消耗品の供給方法も確認し、故障時の停止時間まで含めて最終候補を決める。