気温だけでなく「直射日光が当たる位置」を見る
農研機構によると、りんごの日焼けは、強い直射日光によって果実表面温度が極端に上昇することで生じる。すべての果実が同じ危険にさらされるわけではなく、樹冠の外縁部など、日光を直接受ける位置の果実で発生しやすい。このため、園全体を同じ強さで遮光する前に、果実の位置と周囲の葉の状態を確認する方が、資材と作業時間を配分しやすい。
点検は午前中だけで終わらせず、日射が強まる午後にも園を一巡する。園の南側から西側、列の端、樹冠上部、枝の外側を順番に見て、果実の上面や西側が葉陰から完全に出ている箇所を記録する。同じ品種でも樹形や列方向、隣接樹の影によって条件が異なるため、「品種」だけで対象を決めず、「何列目のどの側に露出果が多いか」まで地図や作業表に残す。
高温期は葉と日除け枝を急に減らさない
長野県の高温対策資料は、日焼けが起こりやすい南西方向の樹冠外部では、新梢整理の切除量を減らすよう示している。青森県の生産情報も、早い時期からの強い葉摘みを避け、高温時の徒長枝整理、支柱入れ、枝つりなどを控えるよう注意を促している。着色を意識して果実周辺を急に明るくすると、それまで陰にあった果面へ強光が直接当たるため、盛夏には着色管理より日陰の維持を優先する。
園内を回る際は、露出果を見つけても、まず周囲の葉や枝を切らずに残せないかを検討する。骨格枝の背面など葉が少ない部分では、日除けとなる枝をすべて取り払わない。着色のための葉摘みや玉回しは、品種の成熟期、高温の見通し、地域の指導基準を合わせて時期を決め、猛暑日に一斉実施しない。作業担当者が複数いる園では、「南西側は切り過ぎない」などのルールを作業前に共有する。
個別被覆は高リスク果に絞り、外す日まで決める
農研機構が紹介する方法では、カサ状の散光性資材や白色の化繊布を、樹の外側で強い直射日光を受ける果実に個別装着する。確認された研究例では、これらの資材によって商品上問題となる中度以上の日焼け果が1割以下に抑えられ、「秋星」「ふじ」「つがる」で軽減効果が確認されている。ただし、この成果は仕上げ摘果後の7月上旬に装着した条件を含む。7月下旬から導入する場合、同じ結果を当然に見込まず、まず南〜西側の露出果で適用の可否を地域の普及指導機関やJAに確認する。
遮光資材は掛けたままにしない。農研機構は、白色化繊布を遅くとも8月下旬に外し、カサ状資材も日焼けのおそれがなくなったら速やかに外すよう示している。除去が遅れると、着色不良、果面のさび、病害虫発生のリスクが高まるためだ。一方、樹体や列を覆う寒冷紗などは、個別被覆とは設置条件や撤去時期が異なる。資材ごとに「装着日・見回り日・撤去予定日」を作業表へ記し、風による外れ、果実との擦れ、資材内の湿りも定期的に確認する。
かん水と予報を組み合わせ、来年に残る記録を取る
農林水産省は、強い日射、高温、少雨で日焼けが起こりやすい園地について、適切なかん水と遮光資材の利用を挙げている。ただし、必要な水量と間隔は土質、根域、樹齢、台木、降雨によって異なる。表面だけを見て一律に水を入れず、樹冠下の土壌水分を確認し、地域の栽培指針と用水条件に沿って実施する。乾燥の影響を受けやすい苗木、若木、わい性台木は別枠で点検し、敷き草などを使う場合も幹元の状態を確認する。
気象庁の週間予報と2週間気温予報を確認する日を週2回程度決め、強い高温が見込まれる期間の前に露出果の再点検、資材確認、かん水準備を行う。収穫時には、列、樹の方位、果実の位置、対策方法、装着・撤去日、日焼けの程度を照合する。被害果数だけでなく、資材の所要枚数と作業時間も残せば、翌年は全面対策ではなく、被害が集中した列と方位から準備できる。