仕上げ摘果後に「午後の日当たり地図」を作る
青森県が2026年7月9日に公表した生産情報では、7月1日時点の果実肥大が各品種とも平年を上回り、仕上げ摘果後も見落としや成らせすぎを点検するよう呼びかけています。これは青森県内の情報であり全国一律には扱えませんが、仕上げ摘果後の今、着果位置と枝の下垂を見直す必要があることを示しています。摘果数だけでなく、残した果実が午後にどの程度露出するかも同時に確認します。
点検は樹列単位で行い、南〜西側の外周部、樹冠上部、枝の下垂や玉の向きによって直射日光を受け続ける果実を記録します。農研機構は、日焼けがすべての果実へ均等に発生するのではなく、樹の外縁部で強い直射日光にさらされる果実に多いとしています。園全体を同じ危険度と考えず、「外周・南西面」「内部」「苗木・若木や乾燥しやすい場所」に分けると、限られた資材と作業時間を配分しやすくなります。
高温期の葉摘みは外周部を後回しにする
農林水産省の栽培資料では、りんごの葉摘みは収穫開始予定の30〜40日前から2〜3回に分け、急激で強い着色管理を避けるよう示しています。実際の開始時期は品種、地域、販売計画で異なるため、産地の最新指導を優先してください。大切なのは、着色を急いで南西面や樹冠上部の果実を一度に裸にしないことです。晴天が続く予報なら、外周部の葉摘みを延期し、曇天が続く時期に分散します。
涼しい朝に、それまで葉陰にあった外周果を露出させると、その後の強い日射で果面温度が急上昇するおそれがあります。朝夕に作業する場合は樹冠内部や下枝を中心とし、南西面と上部は別日に回す方法が安全です。極端な高温日は葉摘み自体を控え、作業者の熱中症リスクも避けます。玉回しも同時に広範囲で行わず、果実がある程度着色してから段階的に進めます。
日陰を作る枝まで一度に切らない
日焼け対策と受光改善は、方向によって使い分けます。長野県の技術資料は、新梢整理を行う場合、日焼けが発生しやすい南西方向の樹冠外部では切除量を減らすよう示しています。園内を明るくする目的で徒長枝を一律に除くと、果実や骨格枝を守っていた日陰まで失う可能性があります。南西面では日除けになる枝を残し、混み合いの解消は内部や反対側から進めます。
果実肥大で枝が下がり、重なりが増えた場所は、先に支柱や枝つりを見直します。ただし、支柱入れによって果実の向きや日当たりが急に変わることもあるため、作業後に午後の状態を再確認します。着色改善、枝折れ防止、日焼け軽減を別々の作業にせず、「枝を動かした結果、どの果実が新しく露出したか」までを一組の確認事項にします。
遮光資材は危険な果実へ絞って使う
農研機構は、強い直射日光を受ける果実だけをカサ状の散光性資材や白色化繊布で覆う技術を公表しています。樹全体を覆う設備がない園でも、南西面の外周果や過去に日焼けが多かった場所を選んで保護できます。同成果では仕上げ摘果後の7月上旬を取り付け時期としています。7月下旬から導入する場合は、品種の収穫期、果実の大きさ、地域の指導内容を確認し、まず危険度の高い区画から実施します。
被覆は付けたままで終わりではありません。農研機構は、白色化繊布を遅くまで残すと着色不良に加え、病害虫やサビのリスクが高まるため8月下旬には外すこと、カサ状資材も日焼けの危険がなくなれば速やかに外すことを示しています。取り付け日と撤去予定日を樹列ごとに記録し、収穫予定と一緒に管理してください。資材の使用条件は製品の説明と地域の技術指導を確認します。
かん水と被害記録を同じ表に残す
高温時は果面だけでなく根域の乾燥も確認します。岩手県は、土壌水分の急変や水分ストレスが日焼けを助長するとし、草生を短く保つこと、樹幹下への刈草などのマルチ、気温の高い時間帯を避けたかん水を挙げています。苗木、若木、根域の狭いわい性台木樹、乾きやすい区画を優先し、土の湿りを確かめてから地域の基準に沿ってかん水します。急な多量かん水を一律に行うのではなく、土質と排水性を踏まえて判断します。
記録表には、日最高気温の予報、降雨、乾燥区画、葉摘みした樹列、被覆した果実数、日焼けを確認した位置を並べます。日焼け果を見つけても、その外観だけで原因を断定せず、南西面への偏り、直前の葉摘みや枝移動、土壌の乾燥を振り返ります。この記録があれば、次の高温予報時に守る樹列を早く決められ、翌年の資材数や葉摘み順序の改善にもつながります。