測る場所は送風機の前ではなく、牛が過ごす高さ
千葉県は、牛体への毎秒2メートルの送風で体感温度を約8度、毎秒3メートルで約10度下げる目安を示しています。ただし、送風機の配置が整っていても、真下、柱の陰、列の末端などでは風が弱くなることがあります。台数や設定角度だけで判断せず、牛が立つ場所と横臥する場所の牛体付近で確認することが重要です。
安価な携帯風速計を用意し、飼槽前、牛床、搾乳前の待機場所などを数地点に分けます。通常の夏季運転状態で、各地点の風速を同じ高さ、同じ向きで測り、牛舎平面図や管理表に記入してください。朝だけでなく、外気が高くなる午後にも測れば、カーテンの開閉や自然風の変化を含む実際の弱風域を把握できます。数値は地域資料の目安と照らしつつ、牛舎構造や飼養方式に応じて普及指導機関へ相談します。
弱風域は角度、障害物、汚れの順に確かめる
弱い地点を見つけたら、最初に送風方向を確認します。遠くへ風を送ろうとして角度を水平にしすぎると牛体へ届かず、下向きにしすぎると列の先までつながりません。千葉県は、つなぎ牛舎では設置位置から3頭目を狙う配置を基本例として示す一方、牛舎構造に合わせた調整が必要としています。柱、梁、仕切り、積み上げた資材が風を遮っていないかも、牛の位置から見直します。
次に、羽根、フレーム、巻き込み防止ガードのほこりを確認します。千葉県資料では、付着したほこりは風速低下と電力ロスにつながると説明されています。清掃や角度調整は必ず電源を切り、機器の取扱説明書と農場の安全手順に従って実施してください。高所作業や通電部の作業を無理に行わず、必要なら電気工事業者などへ依頼します。調整後は同じ地点を再測定し、改善量を記録します。
送風の改善と同時に、飲水の詰まりを点検する
暑熱時は呼気や発汗による水分の損失が増えます。千葉県は、暑熱期の日乳量30キログラムの牛について、1日120リットルの飲水量を目安として示しています。これは全頭一律の割当量ではありませんが、搾乳直後や採食後に複数頭が飲んでも水が途切れないかを点検する材料になります。水槽が満たされていても、補給速度が遅ければ需要の集中時に不足します。
搾乳後に水槽の水位がどこまで下がり、元へ戻るまで何分かかるかを実際に観察します。ウォーターカップは弁の作動、配管の漏れや詰まりを確認し、水槽は汚れを除いて飲みやすい状態を保ちます。フリー牛舎では、通路の資材や過密によって牛が水槽へ近づきにくくなっていないかも確認してください。給水管の改修や水槽増設は、必要流量、衛生管理、凍結対策を含めて専門家と設計します。
毎日の確認は「環境・設備・牛」の3列で残す
農林水産省の乳用牛飼養管理指針は、暑すぎる環境で呼吸数の増加、食欲の減退、乳量・乳質や繁殖成績の低下が見られる場合、直射日光の防止、十分な飲水、送風などを組み合わせるよう示しています。そこで記録表を、温湿度やTHIを記す「環境」、風速・送風機・給水を記す「設備」、呼吸、採食、横臥、乳量の普段との違いを記す「牛」の3列に分けます。
見る時刻を午後の暑い時間帯と搾乳後などに固定すると、変化を追いやすくなります。これは病気を診断する表ではありません。著しい呼吸状態の変化、起立困難、飲水や採食の急な減少など、普段と明らかに異なる状態があれば、冷却と安全確保を進めながら獣医師へ速やかに相談してください。今夏の測定地点、調整内容、給水状況を残せば、来季の機器更新でも台数ではなく「どの場所の空白を埋めるか」を判断できます。