新しい情報では、従来の大雨警報は「レベル3大雨警報」のように、避難行動と結び付きやすい名称になった。レベル3やレベル4の情報が発表された場合、気象庁はキキクルや河川水位、自治体の避難情報を確認して早めに避難するよう求めている。数字はハウスへ急行する合図ではない。人の安全を確保するため、危険な場所から離れる段階を示す情報として受け取る。

気象庁の時系列情報では、明日までにレベル3やレベル4の情報が見込まれる時間帯を確認でき、原則として毎日5時、11時、17時、23時に更新される。キキクルは雨の実況と予測を踏まえて10分ごとに更新される。農場では確認担当者と代行者を決め、朝礼時と作業終了前に時系列情報を確認し、状況が変化したときはキキクル、河川水位、自治体情報を重ねて判断する仕組みにしたい。

農場独自の撤収ルールは、「レベル3になったら考える」では遅い。時系列情報にレベル3以上の見込み時間帯が現れた場合、その時刻より十分前に屋外準備を終える締切を、施設の数、移動時間、作業人数に合わせて設定する。実際の風雨、道路の冠水、用排水路の増水、自治体の避難情報が先行した場合は、より早い段階で中止する。夜間や単独での追加点検を前提にしないことも明文化しておく。

紙1枚の行動表には、情報を確認する人、従業員や家族への連絡方法、屋外作業の終了時刻、車両と農機の退避先、停電時に優先する設備、避難先、JA・市町村・施工業者・農業共済組合等の連絡先を記載する。農林水産省の農業版BCPには耕種、園芸、畜産向けの様式があり、インフラや経営資源の被害を想定し、復旧手順を整理できる。完成後は事務所に置くだけでなく、台風シーズン前に担当者全員で読み合わせる。

農林水産省の確認項目に沿い、まずハウス周辺の飛散物を片付け、燃料タンクやガスボンベの固定、排水溝、谷樋、縦樋の清掃を行う。次に、被覆材のたるみや破れ、換気部などの隙間、ハウスバンドや留め金具の緩み、基礎部、接続部、柱、谷樋の腐食やさびを棟ごとに点検する。直前に全棟を回れない経営では、古い棟、風上側、過去に補修した箇所から優先順位を付け、平時の作業として進めておく。

停電に備え、かん水用水を確保し、天窓、側窓、遮光カーテンを手動で動かすための器具、足場、操作手順を確認する。非常用発電機を保有する場合は、取扱説明書や設備業者の指示に従い、接続方法と動作を平時に確認する。ハウスの耐風性能を超える強風が予想され、被覆フィルムの除去を検討する場合も、作業者の安全、施設仕様、施工業者の助言を優先する。切断除去は園芸施設共済の支払いに関係するため、実施前に農業共済組合等へ相談する。

雨や風が弱まったように見えても、警報、キキクル、河川水位、自治体情報を確認し、避難の必要がなく施設への経路と建物の安全が確かめられるまで見回りを再開しない。農林水産省も、台風通過後は作業者の安全確保を最優先とし、施設の安全が確保された時点でハウス各部や設備を点検するよう示している。倒れかけた支柱、垂れ下がった電線、冠水した盤やモーターには近づかず、専門業者へ連絡する。

農業機械が浸水した場合は、外見に異常がなくても整備業者等の点検前にエンジンやスイッチを入れない。電気配線やモーターの浸水はショート、漏電、火災につながるおそれがある。被害があれば、加入している共済・保険や市町村へ連絡し、片付けや解体を始める前に必要な記録方法を確認する。撤収ルールは作物を守る手順だけではなく、危険な見回りを発生させず、安全に営農を再開するための経営ルールである。