台風接近の2〜1日前に、点検を3系統へ分ける
京都府の園芸ハウス台風対策マニュアルは、台風接近の2〜1日前に、ビニールの破れ、出入口の戸車やレール、妻面、ハウスバンド、排水などを確認する構成になっている。接近直前に全項目へ手を付けるのではなく、まず「開口部を閉じられるか」「被覆材を固定できるか」「雨水を外へ流せるか」の3系統に分け、ハウスごとに未完了項目を残すと作業を割り振りやすい。
最初に、各棟の名称、作業担当、完了時刻を書ける点検票を用意する。入口が閉まる、破れを補修した、谷樋を清掃した、といった結果を記録し、口頭の「見たはず」で終わらせない。補修テープ、ハウスバンド、スプリング、固定金具などの在庫もこの段階で確認する。高所作業や大がかりな補強は風が出る前に終え、間に合わない項目は無理に着手せず、施工業者や普及指導機関へ相談する。
入口、天窓、破れを一続きの開口部として塞ぐ
千葉県のチェックシートは、出入口の戸車やレールが傷んでいると、戸があおられるだけでなく、内部へ風が吹き込んで被害が大きくなると説明している。戸を閉めるだけでなく、レール外れ、戸の隙間、留め具の緩みを確認し、必要ならかんぬきなどで固定する。天窓や側窓も確実に閉め、巻き上げ式の側面フィルムは所定の位置まで下ろして固定する。自動開閉装置は、停電時に手動操作できるかも試しておく。
被覆フィルムは、妻面、出入口の周囲、ビニペットやスプリングで留めた部分、以前補修した部分から順に歩いて見る。たるみは強風でばたつきやすく、破れや固定部の外れは風の入口になり得る。補修後は内側から明るい隙間が残っていないか確認し、ハウスバンドの緩みや固定用直管の腐食も併せて点検する。作付け中の作物や誘引資材が、手動換気や退避経路を妨げていないかも見ておきたい。
外周の片付けと排水を、同じ周回で終わらせる
ハウス周辺のコンテナ、空鉢、板、使っていない被覆資材などは、飛来物にならない場所へ移すか固定する。自農場の資材が隣の棟のフィルムを破る可能性もあるため、棟のすぐ脇だけでなく、風上側を含む外周を歩く。燃料タンクやガスボンベなどは、設備の管理手順に従って固定状態とバルブを確認する。
同じ周回で、谷樋、縦樋、排水溝の落ち葉や残さを除く。排水先までたどり、出口が土砂や資材で塞がれていないか、ハウス側へ水が戻る低い場所がないかを確認する。農林水産省は、雨水の滞留や施設内への侵入を防ぐため、周辺地面の整備と樋・排水溝の清掃を事前対策に挙げている。ポンプを使う農場では、燃料、電源、ホース、吐き出し先を風雨の前に確認し、増水後の水路へ近づく前提の手順にしない。
被覆材を外す判断と作業中止時刻を先に決める
農林水産省は、ハウスの耐風速を上回る強風が予想される場合、事前に被覆フィルムを除去するよう示している。ただし、設計上の耐風速と気象情報の風速は条件や意味が同じとは限らない。施設の仕様書を確認し、不明なら施工業者やメーカー、普及指導機関へ相談する。被覆材を切断して除去する可能性がある場合は、園芸施設共済の扱いに関わるため、実行前に農業共済組合等へ連絡する。
誰がどの情報を確認し、何時に対策作業を打ち切るかも点検票へ書く。気象庁の台風情報、警報・注意報、地域の避難情報を更新しても、暴風の最中に補修やフィルム切断へ戻らない。通過後も直ちに入らず、周囲の飛散物、倒れた骨組み、垂れた電線、冠水などを安全な場所から確認する。安全を確保してから排水、施設点検、換気、かん水の順序を決め、破損状況は片付ける前に写真と棟番号で記録する。