根切り日を暦ではなく最高気温で決める
農林水産省が2026年に公表したタマネギの高温対策資料は、最高気温が35℃を超える日に根切り処理をすると、日焼け球のリスクが上がるとしています。岩手県農業研究センターの成果でも、最高気温36.4℃の日に根切りし、その後2日以内に35℃以上の高温へ約6時間遭遇した条件で、根切り2日後から日焼け球が確認されました。地域やほ場条件で発生程度は変わりますが、35℃近くまで上がる晴天日は根切りを見送る判断材料になります。
根切り候補日は、前日夕方と当日早朝に時間帯別予報を確認します。「作業開始時は涼しい」だけで決めず、根切り後の球が正午から午後の強い日射に置かれる時間まで見通します。35℃を超える予報なら、収穫班や機械を別のほ場管理、乾燥施設の清掃、コンテナ準備などへ振り替えられるよう、予備作業を工程表に入れておきます。
作業開始前に三つのゲートを通す
第一のゲートは生育です。農研機構の東北地域向け春まき栽培マニュアルでは、全体の80%が倒伏した後の晴天時を根切りの目安としています。農林水産省の高温対策資料は、球を覆う保護葉、いわゆる茶色の皮が形成し始めてから根切りするよう示しています。80%倒伏は東北の同作型における基準なので、他地域では品種、作型、出荷先の基準を優先し、普及指導機関やJAの収穫指針と照合してください。
第二のゲートは最高気温、第三は球とほ場の水分です。朝露や雨で球が濡れている、土が付着しやすい、搬出後も乾燥場所を確保できない、という条件が一つでもあれば、そのロットの取り込みは再検討します。根切り可能面積を「一日に処理できる面積」ではなく、「高温になる前に扱え、地干し後に乾いた状態で収容できる面積」として区切ることが重要です。
地干し後は濡れた球を同じ容器へ入れない
農林水産省の資料は、球が濡れた状態で収穫すると、腐敗した個体から漏れた汁液を介して健全な球へ影響が広がるおそれがあるため、球の乾燥を確認して収穫し、収穫後も乾燥状態を維持するよう示しています。病名を外観だけで判断するのではなく、濡れ、傷、軟化、汁漏れなどが見られる球は健全に見える球と分け、地域の指導機関へ相談します。
ほ場で十分に乾燥できない場合は、無理に同じコンテナへ詰め込まず、乾いたロットと濡れたロットを分離します。農研機構は、ほ場で十分な天日乾燥ができない場合を想定し、除湿乾燥を含めた体系を検討する必要があるとしています。コンテナ内へ土を持ち込まないよう、球とほ場の乾きを確認し、過度な詰め込みを避けて、既存の乾燥施設や地域の標準に沿った通風を確保します。
ロット記録で翌日の判断を軽くする
根切りから搬出までを、ほ場名、品種、倒伏程度、保護葉の状態、根切り時刻、当日の最高気温、降雨・朝露、搬出時の乾き、乾燥場所で一行に記録します。翌朝、日焼けによるへこみ、湿り、異臭、軟化などがないかをロットごとに確認すれば、追加乾燥や選別速度を変える対象を絞れます。異常の原因をその場で断定せず、写真と発生位置を残すことが相談時の材料になります。
出荷時に問題のある球が混入する可能性が高いロットは、通常より作業速度を落として選別することも農林水産省資料に示されています。この記事は病害の診断や特定の農薬を勧めるものではありません。農薬の使用を検討する場合は、最新の登録内容と製品ラベルにある適用作物、対象、使用時期、希釈倍率・使用量、使用回数を必ず確認し、地域の防除指針にも従ってください。