農林水産省が2026年に公表したタマネギの高温対策資料では、秋まき育苗の発芽不良につながる要因として、セルトレイ内の温度が発芽適温を大きく超えることと、水分不足を挙げている。同資料が示す発芽適温の目安は15~20℃で、透湿性のある被覆資材やハウスの遮光によって、トレイ温度の上がり過ぎを抑える考え方が示されている。外気温やハウス内気温だけで判断せず、播種位置と同じ高さで、実際の培地に温度計のセンサーを置く準備が必要だ。

播種予定場所では、本番前の晴天日に空トレイまたは試験用トレイを並べ、無被覆、使用予定の被覆下、育苗棚の端と中央など、条件ごとの最高培地温を記録する。遮熱の効き方は資材だけでなく、ハウスの向き、換気、トレイの位置でも変わる。全面積を一度に変更せず、少数トレイで測定条件をそろえて比較すれば、その農場で使える管理基準を作りやすい。

富山県農林水産総合技術センターの成果情報では、8月下旬~9月上旬に播種する448穴セルトレイ育苗で、播種後から発芽ぞろいまで遮熱シートを掛けると、試験条件下で培地の最高温度が33℃以下に抑えられ、発芽が安定した。試験では25℃で供試7品種すべてが95%以上の発芽率だった一方、30℃や33℃で低下する品種があり、高温への反応には品種差も確認されている。この数値を全地域の保証値とはせず、品種と育苗施設ごとに培地温と発芽状況を組み合わせて見る。

農林水産省資料には、被覆による発芽促進期間の目安として約7日が示されているが、同時に、発芽を確認したら明るい場所へ移すよう注意がある。そこで毎朝、トレイ中央と四隅の複数か所を確認し、発芽の始まり、発芽のそろい、被覆解除時刻を記録する。日数だけで被覆を続けると、発芽済みの苗まで暗所に置いて徒長させるおそれがあるため、「7日後に外す」ではなく「発芽を確認した区画から外す」という運用にする。

遮熱シートを掛ければ乾燥しないとは限らない。富山県の試験では、被覆後も培土水分が徐々に低下し、播種後4日頃のかん水が必要とされた。ただし、これは同試験の資材、培土、施設条件による結果であり、4日目を全国共通のかん水日にはできない。トレイの重量、培土表面の色、中央部と外周部の乾き、直近のかん水量を同じ時刻に記録し、自園の乾燥速度を把握する。

発芽後は、乾燥による生育抑制や葉先枯れを避ける一方、回数や量が多すぎるかん水による根傷みも避けたい。農林水産省資料は、培土の乾き具合に応じたこまめなかん水と、屋内育苗で25℃を超えた場合の換気を示している。しおれだけを見て全トレイへ一律に追加せず、吐出ムラ、トレイの傾き、棚の端と中央の乾燥差を先に確認する。

高温期の育苗は、乾燥対策だけでは完結しない。農林水産省資料は、露地育苗で局地的な豪雨や台風によりセル内へ水分が滞留する場合に備え、育苗ほ場の畝立てと明きょによる表面排水を挙げている。育苗棚や畝を設ける前に、水の出口、低い場所、排水路までのつながりを確認し、トレイが滞水する位置を残さない。強風が想定される場所では、トレイの固定方法も播種前に決めておく。

作業表には、播種日だけでなく、品種・ロット、トレイ位置、正午前後の培地最高温度、朝の発芽状況、被覆解除時刻、かん水量、排水確認を一行で記録する。発芽がそろわないときも高温だけに原因を決めつけず、播種深度、覆土、水分、トレイ内の位置差を併せて振り返る。地域の播種適期と品種特性は、都道府県やJAの最新栽培暦を優先する。