農林水産省の7月9日付け通知は、春の平均気温が全国的に高く推移したことを斑点米カメムシ類の発生が早い一因として挙げています。さらに、全国的な高温傾向によって水稲の出穂期が平年より早まり、防除適期も前進する可能性があるとして、計画の点検を求めています。前年と同じ日付で草刈りを予約しているだけでは、早生品種や生育の進んだ田で締切を越えるおそれがあります。

斑点米カメムシ類の多くは水田周辺の雑草で生活し、イネが出穂すると水田へ侵入します。ただし、発生する種類や量は地域やほ場によって異なります。全国集計だけで自分の田の発生を判断せず、都道府県病害虫防除所の最新予報、JAや普及指導機関の情報、実際の生育を組み合わせて作業日を決めることが出発点です。

2026年の農林水産省通知は、畦畔、農道、休耕田の除草を出穂10日前までに完了するよう示しています。農研機構の畦畔管理資料では、出穂14日前の草刈りが有効だった研究成果が紹介されています。地域の防除暦が「2週間前まで」など、より早い期限を定めている場合は、そちらを優先してください。大切なのは10日と14日のどちらかを全国一律の正解とすることではなく、地域基準より遅れない工程をほ場別に作ることです。

作業表には「ほ場名・品種・予想出穂日・予測の確認日と情報源・地域の草刈り期限・草刈り予定日・完了日」を並べます。予想出穂日が8月5日で地域基準が10日前なら、7月26日が完了期限です。同じ経営内でも、移植日、品種、水温や立地によって生育はそろいません。一番早い田だけに全工程を合わせるのではなく、作業班や機械の能力を見ながら、期限の早い田から順に割り付けます。高温で予測が更新された場合に備え、出穂までは数日おきに予定表を見直します。

作業前には、畦畔や農道、隣接する休耕田でイネ科雑草の穂が出ていないか、水田内にノビエやイヌホタルイなどが残っていないか、イネの出穂が始まっていないかを一周して記録します。これは虫の種類を現場で診断するためではなく、草刈りの期限を過ぎていないか、発生源になり得る場所を見落としていないかを確認する作業です。判断に迷う虫や被害がある場合は、写真とほ場情報を添えて地域の病害虫防除所や普及指導機関へ相談します。

斑点米カメムシ類は移動・分散するため、農林水産省は広域で一斉に除草すると効果が高いとしています。自分の畦畔だけを刈っても、隣接する農道、河川敷、休耕田などとの日程が大きくずれる場合があります。集落の一斉草刈り日、共同防除日、公共用地の管理予定を確認し、出穂直前に大面積の草が突然刈られることがないよう関係者と共有します。ただし、道路や河川敷など管理権限のない土地へ無断で入ったり、刈ったりしてはいけません。

すでに出穂10日前を過ぎた田や、出穂が始まった田では、「草が多いから今すぐ刈る」と単独で決めないことが重要です。出穂直前の除草は、斑点米カメムシ類の水田への侵入を助長し、被害を増やすおそれがあると農林水産省は注意しています。一方、継続的に雑草の出穂を抑えてきた畦畔など、管理履歴によって条件は異なります。草刈りの可否と時期は、最新の地域予察、生育段階、共同防除計画を示して、病害虫防除所、普及指導機関またはJAに確認します。

相談時に伝える情報は、品種、移植日、出穂の進み具合、最後に草を刈った日、雑草の穂の有無、水田内雑草の状況、隣接地の管理予定です。これらをそろえると、「例年どおり」という曖昧な判断を避けられます。草刈機を動かす場合は、別途、飛散物、斜面、用水路、周囲の作業者を確認し、暑い時間帯を避けるなど通常の安全対策も崩さないでください。

斑点米カメムシ類には複数の種類があり、イネカメムシのように出穂期の対応が特に重要な種類もあります。本稿では、見た目だけによる種類の診断や、特定の農薬、散布回数を一律には勧めません。薬剤防除を検討するときは、都道府県の最新予察と防除指針、地域の防除暦を確認し、対象作物と対象害虫に登録のある農薬のラベルを必ず読みます。使用時期、使用量・希釈倍数、使用回数、収穫前日数、使用方法を守り、同じ有効成分を含む製品の総使用回数にも注意します。

最終的に残したい記録は、「予想出穂日をいつ更新したか」「草刈りを期限内に完了できたか」「地域予察をいつ確認したか」「相談先からどのような指示を受けたか」です。この4点があれば、次年度は品種別の必要日数や作業能力を見直せます。斑点米対策を単発の草刈りではなく、出穂予測、周辺雑草の管理、地域情報の確認をつないだ工程として扱うことが、今年のような生育の早まりに対応する基本です。