農林水産省の「米のカビ汚染防止のための管理ガイドライン」は、乾燥機の能力に見合った量を計画的に収穫し、速やかに乾燥するよう求めています。収穫直後の籾は水分が多く、コンバインのタンク、袋、建物内などに何時間も放置すると、乾燥開始までの間にカビが生育・増殖する可能性があるためです。刈取面積だけで日程を決めず、乾燥機の張込量、前ロットの終了予定、運搬時間を先に並べます。

現場では、ほ場ごとに「刈取終了予定」「施設到着予定」「張込み予定」「乾燥開始予定」の四つを一枚に記録します。乾燥機が複数ある場合も、合計能力だけで判断せず、品種や区分ごとの受入先を決めます。予定が重なるときは刈取りを一時停止する基準も共有し、未乾燥籾を置く場所の確保を前提に収穫量を増やさないことが重要です。

収穫前点検は、各機械が単独で動くかを見るだけでは足りません。コンバインから運搬車、グレンコンテナ、張込口、乾燥機まで、実際の担当者と経路で空荷のリハーサルを行います。車両を置く位置、ホースやコードの取り回し、張込口周辺の照明、連絡方法を確認し、籾が到着してから初めて気づく待ち時間を減らします。

農林水産省が2026年3月に公表した農業支援サービスの標準ガイドラインも、稲作収穫では機材の作業前点検と事前清掃に加え、収穫後の運搬先と受入態勢、作業日程、報告方法などを事前に打ち合わせるよう示しています。収穫を委託する場合は、受入可能時刻、品種・ほ場の識別方法、水分値などの記録担当、天候やぬかるみによる延期時の連絡先まで、口頭だけでなく作業表に残します。

乾燥機、籾摺機、搬送設備の内部に残った米くずやほこりは、今年産米への異物混入や害虫発生源につながります。取扱説明書に従って、開放できるフタやカバーの内側、昇降機の下部、排出口、配管の接続部などを点検します。清掃・点検時は機種ごとに定められた停止、電源遮断、再起動防止の手順を守り、稼働中の機械に手を入れません。コンバインの詰まりを確認するときも、農林水産省の安全資料が示すとおり、エンジンを停止してから作業します。

農研機構は、主に米穀乾燥・調製・貯蔵施設を対象として、整理・整頓・清掃・清潔・習慣にモニタリングを加えた「5S+One」を提案しています。個別の虫を見つけてから対応を考えるのではなく、前年の残留穀粒を除き、清掃日と確認箇所を記録する考え方です。清掃後は、コンバインのタンク、運搬車の荷台、コンテナ、袋など、籾が直接触れる用具の汚れや水ぬれも確認します。

収穫初日は、計画どおりに流れたかを工程別に記録します。ほ場からの出発時刻、施設到着時刻、張込開始・終了時刻、乾燥開始時刻、張込み前に測った籾水分、待機が生じた場所を残します。目標は数字を集めることではなく、「運搬車が戻らない」「張込口で待つ」「前ロットの乾燥が終わらない」といった詰まりを特定することです。

翌日の刈取量は、コンバインの処理速度ではなく、実際に乾燥を開始できた量と時刻から調整します。故障や停電で乾燥開始が遅れる場合に備え、修理先、予備部品、代替施設への連絡順も掲示しておきます。収穫適期を守ることと、未乾燥籾を滞留させないことを両立させるには、ほ場と乾燥施設を別々に管理せず、一つの受入工程として毎日組み直すことが要点です。