長岡農業普及指導センターが7月14日に公表した臨時情報では、管内24地点のコシヒカリについて、7月13日現在の草丈は平均74センチ、葉色はSPAD値32.5でした。葉色は地域の指標値より2.9低く、7月8日の調査からも2.1下がっています。同資料は、高温で出穂が平年や前年より早まり、葉色も急激に低下しているとして、分施圃場だけでなく、一発基肥の圃場でも著しい葉色低下があれば追肥を検討するよう呼びかけています。

ただし、この32.5という値を全国共通の追肥基準として使うことはできません。品種、作期、土壌、施肥体系、地域の栽培指針によって判断値が異なるためです。速報を見て直ちに肥料をまくのではなく、「自分の圃場を測り直す時期が来た」という合図として使います。まず品種、移植日、予想出穂期、基肥の種類と施用量を圃場ごとに並べ、今週中に確認する圃場を決めます。

新潟県巻農業普及指導センターの2026年7月2日資料では、全量基肥栽培について、出穂期の10~3日前に追肥の要否を判断するよう示しています。同じ資料でも、予想出穂期や葉色の目安は品種と移植時期ごとに分けられています。この考え方を応用し、経営内の水田を「品種×移植時期×施肥体系」で分け、それぞれの予想出穂期から地域指導資料が定める診断日を逆算します。一斉に全圃場を見るより、判断期限が近い群から回る方が見落としを減らせます。

測定は、地域の栽培指針が指定する葉位や測定方法に従い、圃場内の一地点だけで済ませないことが大切です。毎回なるべく同じ機器、同じ測り方、同じ時間帯で複数地点を確認し、平均だけでなく地点間のばらつきも記録します。SPAD計がない場合も、地域指定の葉色板を用いて前回値との変化を残します。圃場全景と測定株の写真、測定日、予想出穂期を一緒に記録すると、数日後の再確認や普及指導員への相談に使いやすくなります。

農林水産省は、高温対策として葉色を見ながら生育診断を行い、適期・適量の穂肥を施すよう求めています。一方、長岡地域の臨時情報は、草丈が長く葉色が濃い場合、倒伏防止のため1回目穂肥を慎重に判断するよう注意しています。したがって、葉色が薄いかどうかだけでなく、草丈、茎数、これまでの施肥、地力、倒伏歴、予想出穂期を地域の診断表に当てはめて判断します。

長岡地域では出穂期の目標葉色としてSPAD値33を用いる資料がありますが、これは同地域のコシヒカリなどを対象とした地域基準です。他産地や他品種へそのまま転用せず、都道府県の施肥基準、当年の普及情報、JAの栽培暦を優先します。基準より低い、数日で急低下した、予想出穂期が前進した、全量基肥なのに肥効切れが疑われる、といった圃場は、測定記録を添えて普及指導センターやJAへ早めに相談し、追肥時期と窒素量を確認します。

点検結果は、圃場名、品種、移植日、施肥体系、予想出穂期、測定日、葉色、草丈、前回からの変化、地域基準、次の行動を一行にまとめます。次の行動は「追肥する」「指定日に再測定」「普及指導センターへ確認」の三つ程度に絞ると、作業担当者が迷いません。追肥する場合は、肥料名だけでなく窒素成分量と施用日を記録し、特別栽培などの基準がある圃場では年間の窒素施用上限も確認します。

農林水産省の資料は、肥効調節型肥料には夏季追肥を省力化できる利点がある一方、高温年には生育後半の窒素不足が品質へ影響する可能性を示しています。全量基肥を否定するのではなく、省力体系に「出穂前の再点検」を一回組み込むのが実務的です。今年の測定値、追肥判断、収穫時の品質を圃場単位でつなげて残せば、次作の肥料銘柄や溶出期間、基肥量を見直す材料にもなります。