まず圃場ごとの「出穂予想日」を書き出す
斑点米カメムシ類の多くは水田周辺の雑草に生息し、イネの出穂期になると水田へ侵入します。2026年の農林水産省通知は、高温傾向によって出穂期と防除適期が平年より早まる可能性を挙げています。地域の平年日だけを使わず、圃場ごとに品種、移植日または播種日、現在の生育、普及指導機関やJAが示す生育情報を照合し、出穂予想日を更新します。早生、主力品種、晩生を同じ日付で扱わないことが第一歩です。
作業表には出穂予想日だけでなく、その14日前と10日前にも線を引きます。総合防除の基本指針は畦畔、農道、休耕田の除草を出穂2週間前までに行うとし、2026年の通知は出穂10日前までの完了を求めています。地域の最新指針を優先しつつ、14日前を早めの作業目標、10日前を越えないための確認点として使えば、天候や作業競合による遅れを把握しやすくなります。
草丈ではなく「イネ科雑草の穂」と本田内を見る
見回りでは畦畔の草丈だけでなく、イネ科雑草に穂が出ている場所を確認します。水路沿い、農道との境、休耕田に接する辺、機械が入りにくい角など、管理が途切れやすい場所を圃場図へ記録してください。隣接地を含めて発生源を減らすため、地域で時期をそろえた除草は、個々の圃場だけで実施するより効果が期待できると農林水産省は示しています。
本田内のノビエやイヌホタルイも確認対象です。これらはアカスジカスミカメなどの増殖源になり得ます。ただし、虫や被害粒の見た目だけで種類や発生量を自己診断しないでください。都道府県病害虫防除所の予察、地域の調査結果、必要に応じて普及指導機関の確認を組み合わせ、観察結果は相談材料として扱います。
期限を過ぎたら「今すぐ刈る」を選ばない
出穂直前の除草は、畦畔などにいる斑点米カメムシ類の水田への侵入を助長するおそれがあります。農研機構は、出穂14日前の草刈りではアカヒゲホソミドリカスミカメが水田内に定着しにくい一方、出穂期やその後では水田内に残る個体が確認された研究を紹介しています。したがって、予定した期限を過ぎてから草が目立っても、草丈だけを理由に出穂直前の全面刈りを始めるのは避けます。
すでに出穂10日前以内に入った圃場では、まず実際の生育段階と地域の予察を確認し、草刈りの可否や代替対応を普及指導機関、JA、防除所へ相談します。2026年通知では、圃場全体の約50%が出穂した時期を出穂期、約80~90%が出穂した時期を穂揃期としています。予想日がずれた場合は、実際の出穂割合を記録して以後の予定を修正してください。
イネカメムシは別枠で地域情報を確かめる
斑点米カメムシ類は一つの虫の名前ではなく、籾を加害して斑点米を生じさせる複数種の総称です。なかでもイネカメムシは、ほかの主要種と異なり、出穂期の籾基部を吸汁して不稔を生じさせることがあり、農林水産省は穂揃期以降ではなく出穂期の対応が重要だとしています。周囲より出穂が早い、または遅い圃場や、飼料用米の圃場についても注意を促しています。
ただし、本記事から虫の種類や薬剤散布時期を決めることはできません。地元で問題となっている種類と防除適期は、都道府県の発生予察情報と防除指針で確認します。農薬を使用する場合は、必ず使用時点の登録と製品ラベルを確認し、適用作物、対象害虫、使用時期、希釈倍数・使用量、使用方法、本剤と有効成分を含む農薬の総使用回数、収穫前日数、周辺作物への飛散防止など、ラベル記載事項を守ってください。
一枚の記録で草刈りと見回りをつなぐ
圃場ごとに「出穂予想日」「14日前」「10日前」「畦畔・農道・休耕田の除草日」「本田内雑草の状況」「県の予察発表日」「実際の出穂期」を並べます。予察が更新された日と確認者も残せば、古い情報を見続けるのを防げます。刈払機を使う場合は、畦畔の傾斜、障害物、飛散範囲を作業前に確認し、適切な保護具を着用します。盛夏の作業は涼しい時間帯に組み、単独作業の連絡方法も決めておきます。
今年の要点は、発生が多いという全国情報だけで一律に動くことではありません。自分の圃場の出穂を基準に除草期限を逆算し、期限後は直前刈りを自動的に選ばず、地域の予察に接続することです。収穫後には実際の出穂日と作業日のずれを振り返り、翌年の品種別予定表へ反映させれば、早まる生育にも対応しやすくなります。