2026年は「いつもの日程」の前倒しを点検する
農林水産省が2026年7月9日に発出した通知によると、7月7日時点で29道府県が斑点米カメムシ類を「やや多い~多い」と予報し、水稲を対象とする注意報が5県から発表されていました。春の平均気温が全国的に高かったことが一因とされ、同省は高温傾向による水稲の出穂期と防除適期の前進にも注意を促しています。全国予報だけで自分のほ場の発生を判断せず、都道府県病害虫防除所の最新情報を確認することが出発点です。
まず、ほ場台帳に「品種・移植日・現在の生育・予想出穂日」を書き出します。前年と同じ暦日をそのまま使わず、幼穂の確認や地域の生育情報をもとに予想日を更新してください。早生・中生・晩生、直播、移植日のずれがある場合は、団地内でも締切日が一つにならないことがあります。
ほ場別に「出穂10日前」を計算する
農林水産省の2026年通知は、畦畔、農道、休耕田の除草を出穂10日前までに完了するよう示しています。出穂直前の除草は、雑草地にいるカメムシ類の水田への侵入を助長するおそれがあるためです。農研機構も、アカヒゲホソミドリカスミカメを対象とした研究成果として、出穂14日前の畦畔草刈りが有効だったことを紹介しています。実際の締切日は地域の主要種や指導内容で異なるため、都道府県の防除指針を優先してください。
作業表には「予想出穂日」「10日前の日付」「草刈り完了日」「再確認日」の4欄を設けます。例えば出穂予想が変わったら、締切日も同時に修正します。締切後に畦畔の穂が目立っても、反射的に刈るのではなく、まず地域の普及指導機関や病害虫防除所へ対応を確認します。水田内のノビエやイヌホタルイも増殖・飛来源になり得るため、畦畔だけでなく田面内の発生も記録しておきます。
見回りは「畦畔・田面・出穂」の3点をそろえる
見回りでは、畦畔や農道、隣接する休耕田のイネ科雑草に穂があるか、水田内にノビエやイヌホタルイが残っているか、出穂がどこまで進んだかを同じ日に確認します。併せて、確認日、場所、虫を見た位置と数、写真を残すと、営農指導員へ相談するときの材料になります。外見だけで種類を断定する必要はありません。種類によって有効な対応時期が異なるため、不明な虫は写真や採取個体を地域の指導機関に確認してもらいます。
特にイネカメムシは、ほかの主要な斑点米カメムシ類と異なり、出穂期の籾基部を吸汁して不稔を生じさせることがあります。農林水産省は、周囲より出穂が早い品種や遅い品種のほ場、飼料用米では注意が必要としています。こうしたほ場を見回り順の上位に置き、「早いほ場を見終えてから残りを見る」という巡回計画にすると、生育差による見落としを減らせます。
草刈りと防除を集落の一枚の表にする
斑点米カメムシ類は移動・分散能力が高いため、農林水産省は広域での一斉除草が効果的としています。ただし、品種や移植時期が混在する地域では、一律の日程が一部のほ場の出穂直前に重なる可能性があります。集落や受託組織では、ほ場ごとの出穂予想日を地図に重ね、草刈り可能期間、作業しない期間、見回り担当を共有してください。道路、用水路沿い、休耕田など管理者が異なる場所も先に洗い出します。
薬剤を使用するか、いつ使用するかは、地域の発生予察、主要種、水稲の生育、防除指針を踏まえて判断します。本稿だけで薬剤や散布回数を決めず、使用時には必ず最新の農薬登録情報と製品ラベルを確認し、適用作物、対象害虫、使用時期、使用回数、希釈倍数・使用量、使用方法を守ってください。地域一斉防除や委託散布を予定している場合も、今年の出穂前進を反映した日程か、担当機関と早めに点検しましょう。
今週の確認を5項目に絞る
今週は、①都道府県病害虫防除所の最新予報を保存する、②全ほ場の予想出穂日を更新する、③出穂10日前の締切日を計算する、④畦畔・農道・休耕田と田面内雑草を確認する、⑤集落や受託者と作業日を調整する、の順で進めます。作業後には草刈り完了日と見回り結果を記録し、出穂の進み方に応じて巡回順を変えます。
この段取りの目的は、虫を見てから慌てて対応することではなく、出穂前にできる管理を終え、出穂期には観察と地域情報の確認へ切り替えることです。固定された防除暦ではなく、今年の生育を基準に予定を組み直すことで、草刈りの遅れや出穂期の見逃しを防ぎやすくなります。