表面の色だけでなく、畝の中の乾きを見る
サトイモ畑の見回りでは、葉の状態だけでかん水の要否を決めず、直近のまとまった降雨、畝間の乾き、畝の肩より内側の土の状態を併せて記録します。表面が湿って見えても、その下まで水が届いているとは限りません。圃場を数区画に分け、同じ位置と深さを毎回確認すると、乾きやすい場所や、降雨後も水分が戻りにくい場所を見つけやすくなります。
農林水産省の2026年7月資料に掲載された岩手県の事例では、生育期間中の高温に伴う肥大遅延や生育停滞に対し、降雨が少ない場合の通路かん水が示されています。ただし、葉焼けや生育停滞は外観だけで原因を特定できません。圃場間の差が大きい場合や回復が見られない場合は、写真、発生位置、土壌水分、管理履歴をそろえ、地域の普及指導機関へ相談します。
一斉かん水ではなく、乾く圃場から用水を配る
埼玉県の高温対策資料は、サトイモ・ヤマノイモについて、かん水施設がある圃場では1回20〜30ミリ程度とし、気温の低い夕方から夜間に行う例を示しています。これは地域の技術情報であり、土質、畝形、排水性、水利条件によって適量は変わります。全国一律の基準として流用せず、地域の栽培指針や普及指導機関に確認したうえで、流量計や給水時間を記録し、自園で再現できる管理単位に置き換えます。
水量が限られる場合は、全圃場へ薄く配るのではなく、畝内まで乾いている区画、生育が停滞している区画、次の土寄せを予定している区画の順に優先順位を付けます。通路かん水では、水が一部に停滞したり圃場外へ流出したりしていないかも確認します。農林水産省の基本指針は、露地野菜のかん水を早朝または夕方に行い、敷きわらなどによる地温上昇の抑制と水分保持を組み合わせる考え方を示しています。
極度に乾いた畑では、追肥と土寄せをいったん止める
土寄せ予定日を迎えても、畝の土が極度に乾いている場合は、そのまま追肥や土寄せを進めません。埼玉県の技術資料でも、この状態では両作業を行わないよう明記されています。まずかん水を優先し、畝内の水分が戻ったことを確認してから、地域の栽培暦と生育段階に照らして作業日を組み直します。
作業再開の判断は、かん水した時刻だけで決めず、同じ確認地点で土の湿り方、畝間の滞水、葉の状態を再点検します。「かん水日」「水量または運転時間」「確認地点」「追肥・土寄せの実施日」を一行で残せば、次回から必要な間隔を農場内で比較できます。土寄せの遅れが生育段階に影響しそうな場合は、自己判断で追肥量を増やさず、地域の指導機関へ相談します。
用水競合と雑草まで含めて、週単位で見直す
農林水産省の令和7年地球温暖化影響調査レポートでは、滋賀県のサトイモで、葉焼け防止を目的とした畝間かん水が「効果あり」と整理されています。一方、普及上の課題として、水稲の要水時期との重複と雑草の増加が挙げられました。かん水計画はサトイモ畑だけで完結させず、地域の配水順、他作物の需要、取水可能時間を週単位で確認する必要があります。
見回り表には、土壌水分と給水実績に加え、畝間の雑草、害虫の有無、葉の変化も記録します。ただし、葉の変色や傷みだけで病害虫や生理障害を診断しないことが大切です。防除が必要と判断された場合は、都道府県の発生予察情報と地域の指導を確認し、農薬を使用するときは、対象作物、対象病害虫、使用時期、使用回数、希釈倍率など最新の登録内容と製品ラベルを必ず確認してください。