最初に開花期の圃場を分ける
大豆の乾燥対策は、播種日だけでなく実際の生育段階から始める。新潟県は、開花着莢期から粒肥大始め頃の乾燥は主に莢数を減らし、その後の粒肥大期の乾燥は百粒重を小さくすると説明している。一方、開花前は排水を優先して根域を広げる時期とされる。同じ団地でも播種日、品種、土質によって開花日はそろわないため、まず各圃場で開花の有無を確認し、開花期以降の圃場をかん水判定の対象にする。
作業表には圃場名、播種日、開花確認日、最後にまとまった雨があった日を記す。用水が限られる場合は、開花期以降で乾燥の兆候が出た圃場を先に回し、まだ開花前の圃場を同じ理由だけで一斉に入水しない。この区分だけでも、必要性の高い圃場へ人員と水を振り向けやすくなる。
葉裏と土色を歩いて確かめる
岩手県が示すかん水の目安は、「日中に上位葉が立ち、半分以上の葉で裏面が見える」か、「晴天が1週間程度続き、土が白く乾燥する」ことのいずれかである。葉の反転は圃場全体が白っぽく見えるため、道路から眺めるだけで済ませず、水口側、中央、水尻側を歩いて偏りを確認する。日中の観察を一次判定とし、朝夕にも葉裏が目立つ状態なら、新潟県が示す水分ストレスの兆候として優先度を上げる。
地下水位を観察できる圃場では、60~70センチより低くなったことも目安になる。測定設備がなければ、周囲明渠の底が乾いているか、暗渠排水口から水が出ているかを確認する。ただし、隣接水田からの浸水がある場所では排水口だけでは圃場全体を代表しないことがあるため、数か所を見る。「晴天が続いた」という暦だけで決めず、葉、土、排水口の現物をそろえて圃場順を決めることが重要だ。
水を入れる前に「抜ける経路」を完成させる
畝間かん水は、入水量より先に排水条件を確認する。岩手県は、明渠を確実につなぎ、水尻を掘り下げることを事前準備としている。明渠の崩れ、雑草や土塊による閉塞、水尻と排水先の高低差を点検し、水が圃場外へ流れる状態を作る。迅速に排水できない圃場では無理に実施せず、地域の普及指導機関や土地改良区と方法を確認する。
排水経路を確認したら、入水直前に暗渠を閉める。水口付近の株が冠水しない水量で流し、水尻へ到達した時点で止水する。その後は暗渠を開け、余分な水を速やかに排出する。水を長くためると土壌中の酸素が不足して湿害につながるため、「一晩ためておく」といった一律運用は避ける。まとまった雨が予想される場合も、暗渠を閉めたままにしない。
通水記録を次の判断に使う
用水量が足りないときは、複数圃場へ薄く同時に流すのではなく、圃場を分けて数日かける方法が農林水産省近畿農政局の資料で示されている。開花期、葉の反転、土の乾きが重なった圃場から順に、水尻まで届かせて排水まで完了させる。始める時刻、止水時刻、水尻への到達、暗渠を再び開けたことを記録し、作業者が交代しても閉栓状態を残さないようにする。
通水後は、水口、中央、水尻に停滞水が残っていないかを確認する。次回は前回の日付だけで機械的に決めず、再び葉と土を観察して判定する。土質や圃場整備の状態によって水の回り方は異なるため、かん水量や間隔は地域の栽培指針、用水利用の取り決め、普及指導機関の助言に合わせる。今回の記録を残せば、次の乾燥時に「どの圃場へ先に水を回すか」を短時間で判断できる。