農研機構の「東北地域における春まきタマネギ栽培マニュアル」では、全体の80%が倒伏した後の晴天時に根切りを行い、数日後に球を反転させると乾燥が早まるとしています。ただし、倒伏率は作物側の成熟を判断する目安であり、その日の気象が根切りに適することまで保証するものではありません。まず圃場内の倒伏状況を確認し、収穫可能な段階に入った区画を絞ってから、別に高温と降雨の条件を確認します。

農林水産省が2026年7月に掲載している野菜の高温対策資料では、春まきタマネギについて、35℃を超えるような晴天日には根切りをしないこと、茶色い保護葉が形成し始めてから根切りすることが示されています。倒伏率、保護葉、天気予報の三つを作業日誌の別欄に記録すれば、「倒れたから予定どおり実施」という判断を避けやすくなります。地域や品種ごとの収穫基準がある場合は、普及指導機関や出荷先の基準を優先してください。

岩手県農業研究センターが公表した2021年の事例では、最高気温36.4℃の日の午前10時ごろに根切りし、その後2日以内に35℃以上の高温へ約6時間遭遇した圃場で、根切り2日後から日焼け球が確認されました。これは一つの年・条件で得られた結果であり、35℃未満なら必ず安全という意味ではありません。それでも、根切り当日の作業時間帯だけでなく、処理後に球が圃場で乾燥している期間の高温も確認すべきことを示す実務的な警戒例です。

前日の段階で当日から少なくとも2日先までの最高気温、日照、降雨予報を並べ、35℃近くまで上がる晴天が予想される場合は延期や処理面積の縮小を検討します。予報値だけでなく、圃場に近い観測地点の実績や自園の温度計も残すと、翌年の判断材料になります。日付、区画、根切り開始・終了時刻、予報最高気温、実測値を一行で記録できる表にしておくと、複数班でも判断をそろえられます。

農林水産省の資料は、直射日光が当たる球の南面がへこむ日焼け球を高温時の注意点として挙げています。根切り前には、圃場の入口だけでなく中央部や日当たりの強い場所も歩き、茶色い保護葉が形成し始めているか、球がどの程度地表へ露出しているかを確認します。毎回同じ場所を撮影しておけば、保護葉の進み方や露出状態の変化を比較できます。

根切り後も、日当たりの強い畝を中心に球面の変色やへこみがないかを見回ります。外観だけで原因を断定せず、異常が広がる場合は作業日、温度記録、写真をそろえて地域の普及指導機関などへ相談してください。小面積では寒冷紗による被覆も農林水産省資料の選択肢に挙げられていますが、資材の掛け外しや通風、作業安全を含め、自園で無理なく管理できる範囲に限ります。

圃場乾燥は収穫後の取り扱いをしやすくする一方、農研機構のマニュアルでは収穫時期が10日程度遅くなるとされています。根切り日だけを決めて終わりにせず、球の反転、収穫、乾燥施設への搬入までの人員と機械を先に確保します。高温日や降雨日を避けた結果、後工程が詰まる場合は、圃場を小さなロットに分けて順次処理する方が、乾燥途中の球を長く置く事態を避けやすくなります。

農林水産省の資料は、球がぬれた状態で収穫すると、腐敗した球から漏れた汁液が健全な球へ触れるリスクがあるため、球の乾燥を確認して収穫し、その後も乾燥状態を保つよう示しています。ロットごとに根切り日、降雨の有無、反転日、収穫日、搬入時の乾き具合を記録し、異常球を見つけた場合は通常より丁寧に選別します。「一斉に終える」ことより、乾いた状態で次工程へ渡せる量に区切ることを優先します。