全国予報を「自分のほ場を見る合図」にする
国の予報は、都道府県が行った発生調査などを取りまとめた広域情報であり、対象地域の全ほ場で発生が多いという意味ではない。まず自県の病害虫防除所が公表する予報や注意報を確認し、その情報を自園の巡回を増やす合図として使う。例えば愛知県は7月3日、野菜類、花き類、ダイズを対象に、オオタバコガとシロイチモジヨトウの注意報をそれぞれ発表した。地域のトラップ調査と自園の発生状況は同じとは限らないため、誘殺数だけで防除の要否を決めず、必ず作物を観察する。
同じ畝、同じ確認株、同じ部位を継続して見ると、前回との違いを捉えやすい。ほ場名、確認日、作物の生育段階、卵や幼虫を見つけた場所、被害のあった株数を記録し、見つからなかった日も残す。複数の作物を栽培している農場では、作物別に記録を分ければ、どの区画から巡回を始めるか判断しやすくなる。
葉面だけで終わらず、食入先を先に見る
オオタバコガは、幼虫が茎、花蕾、果実、キャベツなどの結球部へ食入すると防除が難しくなる。このため、果菜類では新しい花蕾と幼果、その周囲の葉や茎を一組として確認する。結球野菜では外葉だけでなく、結球部の入口や新しい食害も見る。花きでは蕾と茎の接続部まで視線を動かす。大きな穴を探す巡回ではなく、食入前の小さな幼虫を見つける巡回と位置付ける。
シロイチモジヨトウでは、卵塊と分散前の集団幼虫が重要な確認対象になる。葉の表だけを歩きながら眺めず、選んだ株では葉裏まで返して確認する。発見した卵や幼虫の外観だけで種類を断定する必要はない。似た害虫との区別に迷う場合は写真と採取位置を記録し、地域の普及指導機関、JAの営農指導員、病害虫防除所へ確認する。見慣れない被害も自己判断で決めつけず、公的機関へ知らせる。
見つけた場所を、その場で次の巡回点にする
卵塊や分散前の集団幼虫を確認した場合は、可能な範囲で捕殺し、見つけた株と周辺株を次回の重点確認地点として記録する。被害残渣には卵や幼虫が付着している可能性があるため、畝間へ放置せず、地域の方法に従って適切に処分する。ほ場周辺の雑草も増殖源になり得るため、作物を観察する巡回と、雑草・残渣を管理する作業を別々にせず、一枚の作業記録で管理すると抜けを減らせる。
施設では、防虫ネットを張っているかだけでなく、換気口、出入口、裾部に隙間や破れがないかを確認する。ネットは開口部を覆えていて初めて侵入防止策になる。補修後も侵入が完全になくなるとは限らないので、施設内の見回りは継続する。露地でも施設でも、一度の対応で終了せず、地域予察の更新と自園の記録を照合しながら巡回を続ける。
農薬を使う前に「作物・害虫・時期」を照合する
齢の進んだ幼虫や植物体内部へ食入した幼虫では薬剤効果が低下するため、公的資料は若齢期の対応を重視している。ただし、本記事は特定の農薬を推奨するものではない。農薬を使用する場合は、都道府県の最新の発生予察情報や指導内容を確認した上で、使用時点の登録内容と製品ラベルを必ず照合する。登録作物、対象害虫、希釈倍数・使用量、使用方法、使用時期、総使用回数、収穫前日数を守る。
一部地域では薬剤感受性の低下も報告されているため、効き方が不十分に見えても自己判断で濃度や回数を増やさない。害虫の確認、薬剤の選択、系統の組み合わせに迷う場合は、地域の指導機関へ相談する。卵や若齢幼虫の除去、被害残渣と雑草の管理、防虫ネット、継続的な見回りを組み合わせ、農薬だけに依存しない管理にすることが基本となる。