目視だけで終わらせず、毎週同じ地点で測る
電線が張られていても、必要な電圧が保たれているとは限りません。長野県上伊那農業農村支援センターのマニュアルは、電圧チェッカーによる毎週の確認と、目安として5000ボルト以上の確保を示しています。ただし、必要な電圧や測定方法は電源装置、対象鳥獣、柵の構造によって異なるため、機器の取扱説明書と地域の指導基準を優先してください。
測定地点は毎回変えず、電源装置の近く、柵の遠端、ゲート、水路や傾斜など不具合が起きやすい場所を台帳や地図に固定します。日付、地点、測定値、前回との差を記録すれば、柵全体が停止する前に低下傾向を見つけやすくなります。共同柵では担当者だけが結果を抱えず、その日のうちに写真や地図とともに共有します。
電圧が低ければ、草・線・アース・電源の順に切り分ける
測定値が基準を下回ったら、まず電源を安全に切り、電線に触れている雑草や枝、倒木、垂れた線、断線、碍子の外れを確認します。次に、アース棒の接続不良や抜け、バッテリーや乾電池、太陽電池式装置の状態を取扱説明書に沿って点検します。原因を処置した後は必ず同じ地点で再測定し、回復したことまで記録して一件の作業とします。
除草は柵の全延長を一度に仕上げようとせず、測定値が低い区間や電線に接触している場所を優先します。補修が必要な箇所には目印を付け、位置と原因を地図に残すと、資材を準備してから安全に作業できます。通電したままの補修や、手で触れて通電を確かめる行為は避け、電圧チェッカーの説明書に従ってください。
効果点検と同時に、感電防止の設備を確認する
農林水産省は、電気柵を設置した場所に、危険であることを人が見やすい位置と適当な間隔で表示するよう求めています。表示板が草や資材で隠れていないか、ゲートや道路沿いから確認できるかも週次点検に含めます。市販の適合する電気柵用電源装置を使用し、家庭用電源などを柵へ直接つなぐ改造は行わないでください。
使用電圧30ボルト以上の電源から供給を受け、人が容易に立ち入る場所に設置する場合には、農林水産省が示す要件に適合した漏電遮断器が必要です。また、電路には容易に開閉できる専用の開閉器を設ける必要があります。設備が要件を満たすか不明な場合や電源側の工事が必要な場合は、自己判断で分解せず、メーカー、電気工事の専門家、自治体の鳥獣被害対策担当へ確認します。
柵の外側も点検し、農場に寄せ付ける原因を減らす
電気柵だけで被害対策を完結させないことも大切です。農林水産省は、生息環境の管理、侵入防止、捕獲を組み合わせた地域ぐるみの対策を基本としています。柵沿いの藪や見通しを遮る草、放置された収穫残さ、廃果、収穫しない果実などを確認し、野生鳥獣の隠れ場所や餌になり得るものを減らします。
週次表には「電圧」「草木の接触」「断線・たるみ」「アース・電源」「ゲート」「危険表示」「柵外の残さ」の七項目を並べ、担当者と補修期限を記入します。侵入痕や被害が続く場合は、痕跡だけで加害獣を断定せず、市町村、普及指導機関、地域の鳥獣被害対策担当に現場を確認してもらい、地形と対象鳥獣に合った柵の構造や管理方法を検討してください。